電解マーキングとは
金属の化学反応で、安全衛生面に最適
多様な場所へ、半永久的に消えないマーキング
金属表面を削る方式や打刻するマーキング方式が多い中、電解マーキングでは、全く異なる方法で、鮮明なマーキングを実現。電解マーキングとは、通電性のある金属面に専用の電解液を使って通電させ、表面に化学変化を起こすことにより、マーク・文字を定着させるマーキング方式です。
黒色マーキングの場合は、金属表面に酸化被膜を形成、母材と一体化しているために、マークは消えたり、はがれたりしません。対象金属を傷付けず、素材に優しいマーキング方式です。マーク面は優れた耐久性があります。アルカリ・酸による洗浄実験、高圧洗浄実験、高温環境実験など、数々の耐久試験の結果でも、変色・腐食しない、サビないなど、高い耐久性、耐食性があります。
幅広い業界、国内では1,500社以上の企業で導入されています。
通電するほとんどの金属に
半永久的に消えないマーキングが可能
対象表面に優しく、低コスト、持ち運びも便利
- 方式
- 通電性のある金属の表面に低い電圧をかけ、中性の専用電解液の働きで化学反応を起こすマーキング方式。製造機械や配管、治具・工具などに使用されているステンレスや鉄、アルミなど、通電性のあるほとんどの金属に半永久的に消えることのないマーキングが可能です。
- 導入のしやすさ・コスト面
- 振動・けがきマーキング、レーザマーキングに比べて、初期設備費用が最も少なく済みます。手軽に持ち運びができるコンパクトな設計、100V単層電源で使用できます(※)。
※ご使用の際は必ずアース付きコンセントをご使用下さい。
特長-電解マーキングが選ばれる6つのポイント-
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Point
1半永久的に消えない、
剥がれない優れた耐久性・耐食性を実現
性能は様々な実験で実証済 -
Point
2衛生的で安心
菌の温床=窪みができず衛生的
窪みがないので汚れが溜まらず衛生的 -
Point
3平面・曲面にも
マーキング可能あらゆる場所に使える多様性
形状を選ばず簡単にマーキング -
Point
4小さい文字から
大きいマークまで精度と安全性が求められる
極細の特殊針にもマーキング -
Point
5誰もが手軽に、
どこでも使える低電圧、短時間でマーキング
現場に持ち込みができ操作も簡単 -
Point
6素材に優しい
マーキング方式ほぼ中性の電解液で対象に優しい
マーキング方式
電解マーキングの原理
黒色マーキングの場合
- 1版を置いた金属面(A)と電解液をフェルトに浸み込ませたマーキングヘッド(B)をそれぞれ交流電源に接続し、(B)を(A)に押し当てます。(A)(B)は電極になります。
- 2(A)が陽極となった時、(A)の金属イオンが電解液に溶け出します。
- 3電解液中の金属イオンは化学反応により、黒色に変化します。
- 4極性が切り替わって(A)が陰極となった時、電解液中で黒色に変化した金属イオンが(A)の表面に残り、皮膜を形成して黒色マーキングとなります。
半永久的に消えず、さびない理由
電解マーキングのマークが、半永久的に消えない、さびない特性を持っている理由は、電解作用によってできた黒色の酸化皮膜(マーク面)にあります。
例えば、素材が鉄(Fe)の場合、生成された酸化皮膜は酸化鉄Ⅱ(FeO)で、ステンレス鋼表面の不動態皮膜(※1)と同様に優れた耐食性があります(図を参照)。
また実際に黒色酸化皮膜は、元の金属面よりも硬度が高い、耐候性、無毒性(※2)もあるという多くの研究発表があります。特に耐候性については、工業製品に用いられる部品や強度、サイズの基準であるASTM規格で最高のIランクと認定されています。
- ※1=不動態皮膜とは、もともと高い耐蝕性を持つステンレス鋼が空気や水分に触れることで形成される薄い保護膜のこと。不動態皮膜は、さまざまな衝撃に強く、傷なども自動的に修復する機能を持っています。
- ※2=酸化鉄(II)は黒色で耐候性と無毒性についての数多くの研究発表があります。耐候性はASTM規格により一番高いランクIとされており、欧州連合(EU)の化粧品についての規則により、アイメイクを含む全ての化粧品に使用が許されています。現在、ほとんどの国で酸化鉄は食品添加物及びサプリメントへの使用は許可されています。また、医学研究の発表によると酸化鉄のナノ粒子の使用が増えています。
基本システム
マーキング方法(動画)
操作も手順も簡単かつ安全です。誰でもすぐにできるマーキング方法
製品別マーキング方法
- EU パルス
(手動マーキング) - EU パルス
(半自動マーキング) - EU80
短時間で鮮明なマーキング
デジタル制御で低電圧、高電流を安定供給。フラットパネルスイッチで簡単操作。0.2V刻みで電圧調節、交流・直流の出力切替、タイマ機能など設定が可能。
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Step1 準備
版を金属面に固定する
マーキング対象金属と版を準備し、電源装置の電圧とマーキング時間を設定します。対象となる金属をセットし版を置きます。
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Step2 マーキング
ヘッドを滑らせるようにして通電させる
スキージーヘッドに電解液を浸みこませます。金属面にスキージーヘッドを一定方向に滑らせて、通電させます。
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Step3 完了
金属表面の電解液を拭き取る
スキージーヘッドを金属から離し、版を取り外します。金属面に残った電解液を拭き取れば完了です。
半自動機ユニットを使用し、さらに簡単にマーキング
半自動機を使って、フットスイッチを踏むだけでマーキング作業の1サイクルが自動化できます。次々とスピーディにマーキング作業ができるため、作業効率が大幅に向上します。
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Step1 準備
治具にセットする
マーキング対象金属と版を準備します。版を位置決め治具に固定し、位置を合わせます。電源装置の電圧とマーキング時間・ポンプタイム等を設定します。
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Step2 マーキング
スタート信号を送る
対象金属を治具にセットします。フットスイッチを踏んでスタート信号を送ります。エアシリンダを降下させ、マーキングヘッドを対象金属に押し当て通電させます。
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Step3 完了
対象金属を治具から外す
マーキングヘッドが上昇したら、対象金属を治具から外します。金属面に残った電解液を拭き取れば完了です。
電解マーキングの低コスト入門機種
持ち運びが便利なハンディタイプです。マーキングヘッドを接続するだけで、すぐに操作できます。電圧調節は簡単なダイアル操作。部品、器具などの小さなマークに適しています。
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Step1 準備
版を金属面に固定する
マーキング対象金属を準備し、EU80の電源を入れ、電圧のダイヤルを8Vに設定します。対象となる金属をセットし版を置きます。
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Step2 マーキング
マーキングヘッドで通電させる
マーキングヘッドに電解液を浸み込ませます。金属面にマーキングヘッドを軽く押し当て、通電させます。
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Step3 完了
金属表面の電解液を拭き取る
マーキングヘッドを金属から離し、版を取り外します。金属面に残った電解液を拭き取れば完了です。
※マーキング方法は一例です。用途・サイズに応じた最適なマーキングをご提案します。
マーキングシステム環境がよくわかる 特設ページ「SHOWROOM」
製造現場に必要なマーキングシステムを見つけることができます。
マーキングの選定に必要な3つの項目を入力すると、用途に応じた最適な製品構成をシュミレーションできます。
マーキングをもっと簡単に。「新EU80ツールバックセット」
導入企業様の声
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Voice1乳製品のメーカー
毎日作業の最後に充填機を分解洗浄しています。電解マーキングで各部品に表示を入れたことにより、組み立て作業が早く、間違えることなくできるようになり、作業時間が短縮でき、作業者のストレスも削減できて効率が上がりました。
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Voice2熱を扱う食品製造機械のメーカー
得意先の食品工場から、粘着ラベルを工場の中から無くしたいという要請を受け、製造機械の全ての表示を電解マーキングに変更しました。このことが大きなセールスポイントとなりました。
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Voice3切削工具のメーカー
製品の熱処理、仕上げが終わってから最終工程としてマーキングができるようになりました。得意先のブランド入れと原産地表示などが簡単にでき、生産管理、在庫管理の負担が減りました。
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Voice4プレス加工の検査工程
プレス加工後のひずみ測定にマーキングをする必要がありました。一枚のマーキングに約2時間かかっていましたが、ラスカムと協力してマーキングヘッドを改善。効率が上がり、作業時間の短縮と作業者の負担を軽減することができました。
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Voice5システムキッチンメーカー
電解マーキング以外に方法がありません。ラスカムの電解マーキングは製品に熱も衝撃も与えないため、極端に薄い材料でも変形なくマーキングができています。